ミニトレ系譜
1968年3月 DT 1(250cc)発売

1969年1月 AT1(125cc)発売

1970年1月 HT1(90cc)発売

1970年8月 FT1(50cc)発売

1971年 FT1のマイナーチェンジモデルFT50発売
1972年 GT50(50cc)発売

1970年頃のヤマハバイク名の由来
1970年頃のヤマハバイクの機種名の付け方は、アルファベットの1文字目が排気量、2文字目がカテゴリー名となっていたバイクが数多く存在する。
DT1のDはデュアルパーパス、Tはトレールが由来であるが、のちにDは250ccクラスを意味し、Tはトレールを表すようになり他の排気量においても名称の付け方が継承された。
| 1文字目 | 排気量 |
|---|---|
| F | 50cc |
| J | 60cc |
| H | 90cc |
| A | 125cc |
| C | 175cc |
| D | 250cc |
| R | 350cc |
| X | 650cc |
| 2文字目 | カテゴリー |
|---|---|
| B | ビジネス |
| T | トレール |
| S | スポーツ |
| X | 上位スポーツ |
| 車種名 | 1文字目 | 2文字目 |
|---|---|---|
| FB50 | 50cc | ビジネス |
| JB60 | 60cc | ビジネス |
| HB90 | 90cc | ビジネス |
| FT1 | 50cc | トレール |
| JT1 | 60cc | トレール |
| HT1 | 90cc | トレール |
| AT1 | 125cc | トレール |
| CT1 | 175cc | トレール |
| DT1 | 250cc | トレール |
| RT1 | 350cc | トレール |
| FS1 | 50cc | スポーツ |
| HS1 | 90cc | スポーツ |
| DS6 | 250cc | スポーツ |
| XS1 | 650cc | スポーツ |
| AX125 | 125cc | 上位スポーツ |
| HX90 | 90cc | 上位スポーツ |
| DX250 | 250cc | 上位スポーツ |
| RX350 | 350cc | 上位スポーツ |
1970年中盤を境に排気量を名称に入れるように変更された
| 初期型 | マイナーチェンジ後 |
|---|---|
| FS1(1969年) | FS50 |
| FT1(1970年) | FT50(1971年) |
| HT1(1970年) | HT90(1971年) |
| AT1(1969年) | AT125(1971年) |
| DT1(1968年) | DT250(1971年) |
| RT1(1970年) | RT360(1970年) |
| HS1(1968年) | HS90(1971年) |
| XS1(1970年) | XS650E(1971年) |
FT1は、FT50。HT1は、HT90 と、1970年6月、排気量が名称に含まれるようになった。
1970年9月に、DX250というオンロードモデルのバイクがヤマハから新発売されたが、そのときは排気量が名称に含まれていた。おそらく排気量が、一目で分かるようにという配慮であろう。
1972年に発売されたモデルからは、名称にカテゴリー名や排気量に関係なく、固有名称が付けられるようになった。
1968年 オフロードの始まり、DT1登場

1968年、日本国内で初めて本格的なオフロードモデルとしてDT1が発売された。
それ以前にも、不整地などの悪路を走るために作られたスクランブラーモデルは、各メーカーからリリースされていた。
しかし、スクランブラーモデルは、オンロードモデルをベースに、アップマフラー・アップハンドルに変更、フロントフェンダー位置を上げるなど、素性はオンロードのままであった。
DT1は、オフロードを走行するために、パワフルかつ、軽量な単気筒を採用したオフロード専用モデルとして設計されており、フロントサス175mmリアサス90mmのロングストロークで、高い悪路走破性を持っていた。
今までのスクランブラーモデルとは、次元に異なる本格的なオフロード走行を可能とした。
こうしてDT1は、国内にオフロードを普及される第一人者となった。
トレールモデルの小型化
衝撃的なデビューを果たしたトレールモデルDT1は、すぐに小排気量モデルへと遺伝子を分けていった。
翌年の1969年には、DT1をそのまま小型化したトレール125AT1が登場。1970年には、90ccモデルHT1 50ccモデルFT1が登場し、50cc、90cc、125ccとあっという間に、トレール兄弟が生まれていった。
人気の出たDT-1のモデリングをそっくりに、各排気量に導入してブランド化するヤマハの戦略は実に見事であった。
1970年8月 ミニトレの元祖、FT1登場

1967年に、50cc『レジャーバイク』カテゴリーがホンダモンキーによって生み出されてから間もない1970年。
ヤマハも、レジャーバイクカテゴリーに参入するべく、DT1をミニチュア化したスタイルの50ccFT1を発売された。
キャッチコピーは、『ヤマハミニ』。小さくて軽い、誰でも乗れるバイク を売りにしていた。
実際、出力は4PSと控えめであったが、低速重視のセッティングにより、低回転でもトルクがあるために、街乗りしやすく、かつ軽量で、バイク初心者でも楽に取り回しできると人気であった。
FT1は、発売直後からすぐに名称をFT50とした。(詳細は不明だが、1970年夏以降に全車種名の変更の動きあり)
1972年 ミニトレらしいGT50
FT1の発売から2年後、後継機種、GT50が誕生した。
FT1よりも、DT-1をデフォルメ化したデザインになっており、現在でも『ミニトレらしいのは、GT50』と評判である。
GT50のモデルチェンジで、リアショックがツインサスからモノサスに進化しており、DT1のデザインからは少し遠ざかることとなる。
GT50のモデルチェンジ歴
カラー追加を除く機能追加のモデルチェンジをまとめた。
| 年式 | 名称 (型式) | 主な仕様変更 |
|---|---|---|
| 1972年 | GT50 (FT1) | 4速ミッション ボトムニュートラル方式 7ポート・トルクインダクション機構 |
| 1977年 | GT50Ⅱ (FT1) | <マイナーチェンジ> 5速ミッション マフラー形状変更 ランプW数アップ |
| 1979年 | GT50 (3M7) | <フルモデルチェンジ> モノクロスサスペンション装備 燃料タンク・サスペンション・シート変更 ボディサイズアップ 出力が4.0PSから5.0PSに |
| 1980年 | GT50 (3M7) | タコメーター追加 CDI式採用 モノクロスサスアーム角型パイプ パワーレバー採用 |