イグニッションコイルが壊れる理由
バイクのイグニッションコイルは、高圧電流を作り出しスパークプラグへ供給する重要なパーツです。しかし、以下の理由で劣化・故障が発生することがあります。
熱によるダメージ
エンジン周辺の高温環境に晒されることで、内部の絶縁体やコイル自体が劣化していきます。これにより、電気の流れが悪くなり、性能低下や故障の原因になります。
振動による内部断線
バイク特有の振動により、コイル内部の配線が断線することがあります。微細な断線でも点火タイミングがズレ、エンジン不調を招きます。
経年劣化と使用環境
時間とともに絶縁体が劣化し、電圧リークが発生しやすくなります。特に湿気の多い環境で使用していると、劣化が早まる傾向があります。
電圧の不安定さによる影響
バッテリーやレギュレーターの不調により、電圧が不安定になると、コイルに過度な負担がかかり、寿命を縮める要因になります。
イグニッションコイルの劣化症状
イグニッションコイルの劣化が進行すると、次のような症状が現れます。
始動性の低下
セルは回るのにエンジンがなかなかかからない場合、コイルの劣化が疑われます。特に湿気の多い朝に症状が出やすいのが特徴です。
走行中の息継ぎや失速
加速時にガクッと息継ぎするような感覚や、急にエンジンパワーが落ちる症状が出る場合も、イグニッションコイルの不具合が考えられます。
アイドリング不安定
エンジンの回転が不安定になり、アイドリング時にストールしやすくなるのもよくあるサインです。
燃費悪化や排ガスの異常
燃焼効率が落ちるため、燃費が悪化し、排ガス検査に引っかかることもあります。マフラーから黒煙が出るケースも要注意です。
イグニッションコイルが故障するとどうなる?
劣化が進み、完全に故障すると、さらに深刻な症状が現れます。
エンジンがかからない・かかりにくい
スパークプラグに火花が飛ばず、エンジンがかからない状態になります。完全に火花が飛ばない場合は、イグニッションコイルの断線が疑われます。
加速が鈍くなる
エンジン回転が上がらず、加速に時間がかかるようになります。高回転域での息継ぎが目立つ場合もあります。
エンストが頻発する
特に信号待ちや渋滞中に突然エンストすることが増えたら、イグニッションコイルが怪しいサインです。
異常燃焼やバックファイアの発生
点火ミスにより、未燃焼のガソリンが排気側で燃えて「パンッ」とバックファイアが発生することがあります。
イグニッションコイルの故障をチェックする方法
イグニッションコイルの異常をチェックするには、以下の方法を試してみましょう。
目視でのヒビ・焼損チェック
まずはイグニッションコイルの外観を確認。ヒビ割れや焼け焦げた跡があれば、内部損傷の可能性が高いです。
テスターを使った抵抗値測定
マルチテスターを使い、一次コイルと二次コイルの抵抗値を測定します。サービスマニュアルに記載の正常値から外れていれば交換が必要です。
スパークチェックで火花の確認
プラグを外して、スパークチェックを行います。火花が弱かったり飛ばない場合、イグニッションコイルの故障が疑われます。
他の点火系パーツとの関連確認
イグニッションコイル以外にも、プラグやプラグコード、CDIなどが原因の可能性もあるため、併せて確認が必要です。
故障した場合の対処法
イグニッションコイルが故障していた場合、次の対応を検討しましょう。
イグニッションコイルの交換タイミング
5万km〜10万kmを目安に交換するのが一般的です。不調を感じたら早めの交換をおすすめします。
純正品と社外品の選び方
純正品は高価ですが信頼性が高く、社外品はコストを抑えられるものの品質にバラつきがあります。用途に応じて選びましょう。
修理・交換費用の目安
交換工賃込みで1万〜2万円程度が一般的ですが、車種や工賃によって幅があります。DIYで交換すればパーツ代のみで済みます。
故障を防ぐための予防策
定期的にプラグやバッテリーを点検・交換し、電装系に過負荷をかけないことが大切です。雨天走行後の乾燥も忘れずに。